私は垣根涼介氏の小説が好きで、10年以上かけて調べた限り全ての作品を読んでいます。
本作のお仕事小説だけではなく、ハードボイルド小説や最近では歴史小説も書き続けて直木賞まで受賞してしまいましたよね。
その中でも私が一番好きな作品を紹介します。
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垣根涼介著「君たちに明日はない」あらすじ

「君たちに明日はない」は全5作品が出版され、完結しています。
テーマはリストラ。
主人公は三十代半ばの色男で、北海道出身、筑波大学でプロのレーサーを目指すもあと一歩届かず、広告会社で働いていました。
優秀であり仕事はできるものの、給料を少し超える売上を稼いだらサボって仕事中にホテルに彼女を連れ込むようなタイプ。
ある時リストラを請け負うコンサル会社にリストラされるのですが、優秀さを見込まれてそのリストラ会社で働くことになります。
(書評)おすすめ小説(2)ワイルド・ソウル 垣根涼介著のハードボイルド小説最高傑作
君たちに明日はないの主人公はリストラする側とされる側の二人

実はここまでは過去であり、すっかり主人公がリストラ会社のエースとなってから物語は始まります。
一つの作品は四つの短編から成り立っており、各話にリストラせざるを得ない会社とリストラの対象となった主人公がいます。
つまりシリーズ全てで20人ほどの主人公が仕事とは何かに悩み、リストラを受け入れるのか会社に残るのか葛藤し、最後は人生とは何かを考える物語と言えます。
君たちに明日はないは山本周五郎賞を受賞
今回は第一作を紹介しますが、第一作は山本周五郎賞を受賞しています。
レーサーの夢を諦めた哀愁漂うリストラエースの主人公自体の物語もありつつ、リストラに悩む四人の主人公がいます。
少しネタバレですが、主人公は年上好きらしく、過去には五十代と付き合った回想を挟みつつ、実はリストラ対象の四十代の年上女性と付き合うことにもなります。
彼女も物語の最後までよい味を出しており、第一作ではないですがリストラ会社の社長(このキャラクターも渋い)に見つかり主人公が減給をくらうなどサブプロットとしても記憶に残る人間味を出していますよね。
君たちに明日はないは人生を考えさせられる
私がこの作品にはまったのはまだ若い二十代の前半から中盤で、心身共に仕事で限界になっていた時でした。
作品の登場人物たちも全員がリストラ(割増の退職金をもらって退職)を受け入れるわけでも、全員が断る(今後先細りだとしても今の仕事を続ける)わけでもなく、それぞれの道を選びます。
会社に残って欲しい優秀人材が飛び出すこともあれば、小説家になった優男も第三作では出てきましたね(当時とてつもなく憧れた笑)。
仕事とは何かを考えることは、特に私たちのようなビジネスマンには人生とは何かを考えることに等しく、歳を重ねて読み返すと違う味のする良作となっています。
働く全ての人に刺さる物語と言えるでしょう。
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君たちに明日はない(2016年の書評)

以下は私が前身ブログで書いた書評です。
当時人気のブログで1日1万PV読まれた時期もあり、大分売上に貢献したはずです。笑
よければこちらもご参考に。
1番好きなおすすめ小説「君たちに明日はない」
年末にじっくりと1冊の小説を読みました。
10年程前の作品ですが、山本周五郎賞を受賞していて、「もしかしたら1番好きかもしれない」と惚れたのでご紹介します。
リストラの物語です。笑
小説家見習いとして、この「リストラ」というテーマは最高だろうなと思います。
非日常というエンタメ性を持つ一方、誰でも想像・共感できる舞台。
仕事というビジネス知識で構成され、家族・恋愛という普遍の「人」とも重なり、何より生き方という文学がある。
普段、小説を読まない人ほど面白いと思います。これほど考えさせてくれるビジネス書はありません。
君たちに明日はないは仕事がつまらない人、嫌いな人、辞めたい人にこそおすすめ
仕事がつまらない人、嫌いな人、辞めたい人にこそお奨めします。
5つの作品で、20人以上のリストラが描かれています。
会社に残る人、会社を去る人、全く新しい世界へ挑戦する人など。
20の人生であり生き方が「会社を辞めるか」という問いに必死に答える物語です。
個人的には、リストラコンサルタントの主人公の人生が一番好きですが。
自分自身が社会人生活を深めながら読み進めました。
絶対に何が何でも大企業は辞められない、と何度も焦りました。
今すぐにでも仕事を辞めたい、とそれ以上に焦りました。
おそらくあなた自身、どちらも感じると思います。
そして、散々悩んできた生き方について、更に深く考えさせられるはずです。
私は狂ったように「考える」ことが好きです。
寝ている時間以外は、複数の物事についてごちゃごちゃずっと考え続けています。
頭が自分とは別の場所で勝手に永遠に回転し続けている感覚です。
自分以外には害はないと思うので、良性の病気かもしれません。笑
しかし、その中でも中枢にある「働く」、「生きる」というテーマ。
少なくとも私の考えや、それを言葉にしたブログがどこかに刺さる方には、この小説は必ず、そしてとてつもない「刺激」になるはずです。
ぜひ気になる方は読んでみてください。
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