日本で最も有名なミステリー小説のひとつ、十角館の殺人をご存知でしょうか。
これを知らずにミステリー好きを名乗るのは潜りとなります。
ここでは十角館の殺人のあらすじとネタバレ、最後の一行を受賞作家が考察します。
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十角館の殺人あらすじ(ネタバレ少し含む)
十角館の殺人は綾辻行人氏のデビュー作にして最大のヒット作となります。
館シリーズはここから全9作品あり、筆者の筆力が向上していくことも読み取れて楽しいです。
綾辻行人氏の館シリーズで最初にして最高傑作
私は経済小説から歴史小説、ミステリー小説まで書き殴る暗中模索の時期がありましたが、その際に館シリーズは全て読みました。
筆力もトリックもどんどん重厚となっていくのですが、やはり十角館のシンプルにして衝撃の1トリックが読者の心を離さないのだと思います。
十角館の殺人あらすじ
あらすじを簡単に紹介すると、とある孤島に建つ十角形の館に、大学ミステリー研究会の7人が訪れます。
館の主は半年前に焼死。
そこで学生たちは次々と殺されていくという物語です。
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十角館の殺人トリック考察(ネタバレ注意)
これから読む人のために完全なネタバレはしません。
ただし小説の書き方サイトですのでトリックについては言及します。
このミステリーでは、7人が孤島に行き、6人「全員」死亡という事件になります。
……わかりますよ、このコンセプトだけで読みたくなりますよね。
これ自体は犯人が全員殺した後に自分がいなかったことにするわけです。
十角館の殺人は視点のトリック
十角館の殺人で勉強になるのは視点です。
殺されていく学生たち各自の視点が章立てで描かれていきます。
皆まで言うな、その中の一人として犯人の視点を描きつつ、犯人だとわからせない書き方をするわけです。
後述の通り私は分かりましたけれど。
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十角館の殺人は最後の一行が衝撃(犯人がわかる)
十角館の殺人は最後の一行が衝撃だと言われます。
理由はその一行で犯人がわかり、「どうゆうこと??」と読者がパニックになるからです。
小説の最後の一文書き方20選[初心者向け小説書き方講座34]
十角館の殺人の犯人(視点トリック)がわかってしまった
個人的には十角館の殺人の犯人はわかっていました。
と言うのも、初めから犯人を当てるために必死で、書き手ならどうするかを考えながら読んでいました。笑
読んでいくうちに「アガサクリスティーのそして誰もいなくなった手法かな?」と仮定をして、各学生の視点の中から明らかに犯人ではないキャラクターを排除した時に、「消去法ならこいつだな。確かにこれは怯える学生の視点とも犯人の視点とも言える」と逆算したわけです。
ここまで書いても絶対に面白いので、ミステリー作家志望の方は課題図書としてぜひ読んでみてください。
以下は私が3年以上前に書いた別ブログでの書評になりますので、そちらもよければご参考に。
初心者向け小説書き方講座12有名ミステリー小説のトリック10選
十角館の殺人書評
- [著者]綾辻行人氏
- [おすすめ度] ★★★★☆
- [読みやすさ] ★★★★☆
- [トリック] ★★★★★
純粋なミステリー小説をお勧めするのはおそらく初めてですが、「犯人が誰か分からなくて最後は驚かされたい!」というミステリーの醍醐味を味わいたければ、間違いのない名作です。
最初に書かれたのはなんと私が生まれる前で、設定の古さや荒さを修正した(作者は本作がデビュー作)新装改訂版は2007年に出されました。
ミステリー小説あるある「携帯(スマホ)をどう使わせないか」
ミステリー小説あるあると言いますか、携帯(今ではスマホ)をどう使わせなくするかは重要であり、新装版は設定も納得です。
2021年現在もツイッターの読書好き界隈では、毎日のようにミステリー初心者の驚きツイートが流れてくるほどの鉄板中の鉄板。
十角館の殺人は日本版『そして誰もいなくなった』
何より、日本版『そして誰もいなくなった』と言っても過言ではない、シンプルですが記憶から消えないトリックが隠されています。
この前の特別ドラマ『そして誰もいなくなった』で感化されて、読んだのは随分前ですが書評を書きたくなりました。
ご都合主義の(推理の余地すらない)ミステリーが多い中、この1冊は読みごたえ抜群です。
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十角館の殺人作者の綾辻行人氏と伊坂幸太郎氏の対談
現代ビジネスで、十角館の殺人作者の綾辻行人氏と伊坂幸太郎氏の対談が載っていました。
とても面白く参考になりましたので共有いたします。
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